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経営の4視点

どうすれば優れた企業か否かが分かりますか? 一つの明快な答えは、財務上の利益で数値的に判定する事です。つまり利益が多いほど優れた企業となるのですが、指標はそれだけで充分でしょうか? また、利益を高めたい、との普遍的な経営課題を解決するにはどうすれば良いでしょうか?

バランススコアカード
Balanced Score Card

企業は取引先や行政などステークホルダー(利害関係者)に取り巻かれて活動するので、利益を軸として「財務の視点」で実力を示さねばなりません。例えば、外部から資金を受けたい会社は、事業で得る収益や払う費用を10年先まで見積もり、収支計画として株主や銀行へ提示します。

ただ「財務の視点」は企業を表す氷山の一角です。水面下の実態も可視化できないか? その最適な道具がハーバード・ビジネススクールのキャプラン教授らの作ったバランススコアカード(BSC)です。アメリカで大手(S&P500)の約半数が使い、日本でも上場企業を軸に利用されています。

BSCによると経営は「財務の視点」に加え、企業が寄って立つ「顧客の視点」、仕事を効率的に回す「プロセスの視点」、組織を強化する「学習・成長の視点」で計ります。これら4つの視点は相互に絡み合う関係性です

また、4視点の中には、営業利益、顧客満足度、製品品質、教育研修数などの多様なKPI(重要業績指標:Key Performance Indicator)が数値で含まれています。財務は良いが顧客を軽視していないか?等と4視点でバランスよく経営を数値評価(スコアカード)する訳です。

更に、もし財務が弱い課題を見出したら、残り3視点の現状も探りながら成功要因を探り、数値(KPI)に基づく 課題解決 を全社的に進められます。BSCは、多岐に渡る企業活動の中、難しい経営課題を解決する為に筋道を示す強力な道具です。

では具体的にどうすれば良いでしょうか?

戦略マップ

BSCで課題を解決するには、まず、直近年度のKPI実績を算出した上で、4つの視点の枠内で結果KPI←原因KPIと矢印でつないだ「戦略マップ」を作ります。図に示した製造業の典型例で解説します。

財務の視点①:営業利益とその要素である売上と費用を分けます。

顧客の視点②:①の売上獲得の要因は、顧客数と満足度に依存します。

プロセスの視点③:主に②の顧客獲得は販促広告や製品開発のKPIが関係し、①の費用は製造や物流の品質(Q)・工数(C)・納期(D)が影響するでしょう。それらは、DX/IT開発、生産設備・人員配置が下で支えます。

学習・成長の視点④:プロセス③を担う人材は研修・OJT(教育)やワーク・エンゲージメント(仕事への愛着)で働きが変わります。財務①のKPIを達成する源泉は、ここに記される人や組織の学習・成長にあるのです。

以上で作った「現状」の戦略マップとは別に、例えば「3年後目標」の戦略マップをKPI数値を変えて仕上げます。

この将来目標と現状を埋めるためのアクション(要因)を抽出し、個々に3年計画を立てれば、経営課題を解決する「戦略」が文字通りに完成します。戦略を達成是非が不明な抽象的文言で終えず、KPIで具体的数値にしてマップへ落とし込むのがBSCの秀逸な点です。未来は数字で作ると明快です。

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